ガールズ&パンツァーOVA「これが本当のアンツィオ戦です!」観てる(ネタバレあり)

いやほんといいわこれ。劇場でBlu-Ray買ってもうずっと観てます。(でもプリキュアとかさばげぶっ!とかも観た)

というわけでネタバレありで今思いついたことを書き留めておきたい。一般販売の25日まで我慢…とか言ってると忘れちゃうんだよねこういうの。

もうひとつのシンデレラストーリー

ガルパンって、話としても無名の大洗女子が勝ち進んでいくという王道中の王道話ですが、大洗って町も風評被害で厳しい状態からの聖地へ、そして、ああ、この記事でしたね、スタジオも、そして渕上舞さんも「これが最後」からの逆転みたいなところがあった。
渕上舞「これが最後」と臨んでいた ―『ガルパン』がこれほどまでに人気を得た理由 | ダ・ヴィンチニュース

そして今回、もうひとりその逆転というかシンデレラ・ストーリーというか、ここ戦争映画に引っ掛けた上手いこと言いたいけど思いつかないのでそのまま行きますが、そういう展開になっている方が、いらっしゃいますよね。

吉岡麻耶さん。今回の映画(正確には映画用に作られた映像ではなくてOVAを映画館でかける展開ですが便宜上『映画』と呼びます)の主役、アンチョビ役の声優さんです。

「収録の際に(吉岡さんが)アンチョビ役に手を挙げたことがきっかけで、こんな大抜擢になった事を踏まえて、やはりこれからの時代は、ガヤも必死にならなきゃイカンということを教えてくれた作品です!皆さん!チャンスはいつ、どこに転がっているか分からないんだからね!そういった生々しい部分も感じながら作品を楽しんで頂けたらなと思います(笑)」

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舞台挨拶での井口さんの発言だそうですが、ガヤってのは簡単にいうとその他大勢ですよね。がやがやした特にセリフさえ決まってないような声。これを、メインキャラを演じてる声優さんが兼役でやったりすることがある。今回の映画でも、冒頭のアンツィオ高校の生徒、これ福圓美里さんじゃない?とか言われたりしてる。

まず本編第7話。アンツィオ高校との試合の模様が出てくるんですが、数秒で終わっちゃう。白旗上がってアンチョビが「ぐへー」って言うだけ。この「ぐへー」を担当したのが吉岡麻耶さん。もともとバレー部の近藤妙子役の方。他にも、黒森峰のパンターの車長なんかもやっていて、わりと積極的にそういう「ガヤ」というか、モブというか、に手をあげていたみたい。

ところがその後、この省略されたアンツィオ戦をOVAでやる、って話になった。あ、これもともとアンツィオ戦のストーリーがあって製作の都合でカットされた、って思ってるひとがたまにいるみたいですがコメンタリーやインタビュー記事なんか見てもやっぱり最初からそういうあっさり勝っちゃいましたという肩すかし系「省略のギャグ」だと思うんだけどなあ。まあ誰かの頭にぼんやりとはあったとしても、別にあとでOVAにしてやろうというほどはっきりしたものではなかったんじゃないかなあ。

ここで、多分ね、なんかすごく有名な声優さん、あるいは剛…いやまあその、女優さんとかね、こう、「あー、彼女ならファンが何人で…」なんて、Excel釘宮病患者数と病状と単価で売上を計算しつつ眼鏡をクイッとやりながら「いくらいくらの経済効果が見込めますね」なんていうビジネスマンも登場しておかしくなかった、んじゃないかと言う気がする。単なる妄想ですが。生々しい話、それこそ井口さんだって「そーどーこー」とか「眠い…」ばかりじゃ暇だから主役でもやってみっか、ぐらいでやればできちゃう実力派ですよ。ガルパン声優に限ってもそんな上手なひとたちがそれこそごろごろしてる。

実際、そのOVA制作決定発表のときのツイートでは、吉岡さん「キャスト変更ないかとびくびくしています」って言ってる。このときはまだ決定してなかったんだ。
アンチョビ統帥に栄光あれ Viva il Duce! - Togetterまとめ
このときの監督の返信がいいね。「@maya_no_a もちろん!敵前逃亡は許しません(^^)」大丈夫、変更なんかしないからむしろ逃げずにやれよ、と。

その後の吉岡さん、アンチョビは私、とこれは外へのアピールももちろんだけど自分に言い聞かせるみたいに行動していく。いやでもね、ほんとにダメならダメって言われると思うんだ。「やりたーい」「あ、どうぞ」ってほど甘い世界ではさすがにないんじゃないか。

音響監督とかそういうこわいひとが、
「監督(オヤジ)はああ言っとるが、わしゃあ認めた覚えはねえ。ちょっとでもしゃらくせえマネしてみろ。指の骨全部へし折ってやる」
って、兵隊やくざ勝新太郎みたいな顔して睨んだりしてる絵を想像しています。

しかしたぶん、できると思ったから監督はああ言ったんだろうし、まあ実際「別の声優さんにお願いしました!」って発表されても…もう、ねえ。なんかもやっとしたものが生まれちゃうよね。チームワーク的にも問題ありそうだわなあ。でもその空気に持っていったのは吉岡さんの行動力だと思う。

そして結果はどうだったか。
わたくし、映画観てから土日はずっとtwitterとかで「ガルパン OR アンチョビ」とかで検索したりしてずっと見てたのよ。その検索範囲では「アンチョビは声が違う」もっと他の、なんてのはひとつもなかった!声がシコれるとかいうやつはいた。いました。まあとにかくかわいい、いいやつじゃないか、と。しかも単なる紋切り型ツンデレじゃなくて、姉御肌の、でもちょっとお調子者の、という愛されキャラとして十分評価されたと思います。よかったねえ。

というわけで、これで吉岡さんチャンスを掴んだわけで、今後も頑張って欲しいな上手くいって欲しいなと思った次第であります。

アンチョビその後

話変わって、おまけとして。本編の最後のコミカルなオチ、とても良かったんだけど、なんかさっき思い出してたらさ、可哀想になっちゃって。アンチョビおよびアンツィオの愛すべきあの面々が。

だって、せっかく旗とか弾幕とか用意してさ、暗いうちから乗り込んでたんだよ。それがなあ…。

他の高校とかにも歓待していたのかどうかはわからないけど(でも黒森峰が宴会に参加するところはあまり想像できない)、ひときわ大洗にシンパシーは感じていたんじゃないかと思う。寄せ集めの数も劣る戦車で勝ち抜いている、しかも前年優勝校のプラウダを破っての決勝!応援したかったんだと思う。自分たちを重ねて「大洗がいけるならいつかうちも…」と思えて嬉しかったと思う。

それに、大洗やみほの人徳によるもの以外でも、戦車道で毎日戦車のこととパスタのことばかり考えてる連中ですよ、きっとなにかっていうと「最強の戦車はなにか」「西住流はほんとに無敵か」「もし西住流と西住流が戦ったら?」なんて、格闘技マニアみたいなこと絶対言ってると思うのね。それが今回実現する、しかも姉妹対決、こりゃ絶対見なきゃならん。その証拠にダージリンやケイたちだって毎回観戦してる。

応援したいし、見たいし、そしてあいつらのために応援すべき、つまり「あいつら、こんな人数で応援したら喜ぶぞ」「我々が応援したお陰で大洗、ひょっとしたら優勝しちゃうかもしれん」とか真面目に思っていそうだよね。寝過ごしたとわかってどんなに悔しがり、すまなく思っただろうか。これがカチューシャだったらきっと誰かを粛清して気を晴らすだろうけど(その前にノンナは寝過ごさないと思う)、アンチョビさん、決して他人のせいにしない気がする。もう、ひなちゃんしっかりしてあげて!


一方大洗側でいうと、日本人的な感覚ならさ、あれだけ大歓待を受けたわけでしょ、祝賀会にさらに缶詰も差し入れがあったしさ。やっぱりこれ、アンツィオら対戦校を招待してお返ししないと済まされないんじゃないかなあ。あんこう鍋とかしらす丼とかみつだんごとかで。もしかしたらそういうほのぼのとした理由で大洗に結集するのがきっかけで劇場版は始まるのかしら…と思ったりもしてるわけです。