ガルパンとプリキュア

キュアップ・ラパパ!(挨拶)

それにしてもガールズ&パンツァー劇場版、大評判ですなあ。
「へえ、そんなにすごいっていうなら観てみようか」って大勢のひとが今週末には映画館に足を運びそうですね。

さて、この映画を観て、ちょっと気づいたことがあります。(あ、映画の内容に多少は触れることになりますので、ネタバレを気にするひとはここでお別れです)
結論だけ先にいうと、「心の中に女児がいるすべての女性(および男性)にも、ガールズ&パンツァー劇場版、おすすめです」。

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  • 女の子がものすごくたくさん出てくる
  • 数人ずつの個性的チームで戦う
  • 戦闘に際しては、着替える
  • 敵の攻撃を顔で受けない
  • パンチラ厳禁、戦車無理するな(無理しないとは言ってない)
  • チョコパフェとかイケメンとかマジに夢中になれる年頃
  • ミラクルみんな来る、キラキラkawaii大集合

……君のような勘のいい子なら、そろそろなにかを把握することでしょう。ガールズ&パンツァー劇場版ってわりとプリキュアオールスターズだ!(バーン)
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ガルパン声優さんにプリキュアと重複する声優さんが多いと放映時一部で話題になりましたが、ガルパンは全部で、冷泉のおばあも入れて私数えたんですけどね、女の子62人かな、プリキュアは確か41人。それくらいいるのでそりゃ何人か重複も出てくる…と思いきややっぱりガルパンは他の女の子いっぱい作品と比較してプリキュア率高いみたいね。
プリキュア率 - 藤四郎のひつまぶし
どちらも増えたことですし、改めて抜き出してみましょう。

西住まほ - シャイニールミナスふたりはプリキュアMaxHeart
ナオミ - キュアレモネードYes!プリキュア5
カエサル - ミルキィローズYes!プリキュア5 GoGo!)
ダージリン- キュアベリーフレッシュプリキュア
角谷杏 - キュアハッピースマイルプリキュア
カチューシャ - キュアピーススマイルプリキュア
エリカ - キュアハート(ドキドキプリキュア
西住みほ - キュアロゼッタ(ドキドキプリキュア
ミカ - キュアエコー(プリキュアオールスターズNS)

他にも、なおちゃんの弟で秋山殿が、ハピネスチャージのクラスメイトで華さんが、グレルでおばあが、今のプリンセスプリキュアにはそど子が出ていますね。これから魔法使いプリキュアなどに参加する名前もあるかもしれない。
でもまあ、ここで話題にしたいのはもっと中身のことです。

ガルパンのルーツ

ガルパン系譜は往年の戦争映画だろうということは言われてますし、映画内で登場人物がそれらしき映画を観ている直接的描写もあります。otapol.jp
他にも「チャンバラじゃないか」なんて声もあります。
私としては、これTVシリーズのときの話ですが「ラブライブ」「TARI TARI」などの「廃校もの」は、時代劇で言う「お家お取り潰し騒動」以来の伝統ではないか、と思いました。

だけども、もうひとつ。「女の子がたくさん出てきて戦うアニメ」の流れもあるのではないか。「萌え」というのとは少し違います。魔法少女とかセーラームーンとかそういう、女の子向けの「女の子だって暴れたい」流れです。これは意識して継承した系譜というよりは「女の子たくさん集めてなにかやる以上結果的に似てくる」、という形かもしれませんが。

ガールズ&パンツァーではそりゃ「パンツァー」が気になるけれども、「ガールズ」要素も無視できないよね、ぐらいのニュアンスです。戦車や戦闘を考証している野上武志さんや鈴木貴昭さんらのスタッフに対する、脚本担当の、「おジャ魔女どれみ」や「マリアさまがみてる」「たまこまーけっと」なんかも手掛けた吉田玲子さんの方向ともいえますか。この2つの軸を監督がまとめあげていく、という構図かなと想像しています。

あ、そうなってくると女性ばかりで野球をする「プリティ・リーグ」とか、女の子だけでジャズをやる「スウィングガールズ」も視野に入ってきますね。
本来男のものと思われていた分野で女性が奮闘する系
という言い方もできるでしょうか。プリキュアや戦車道では「戦う男」は出てこないので、そういった男女問題に足を踏み入れるのを巧みに避けているようではありますが。

女子で野球といえば

女子プロ野球を敗戦直後の日本でやろうとする漫画「鉄腕ガール」が私大好きなんですが、一戦一戦の緊張感やヒロインの生き様をドスンと喰らいたいひとにはいいかもしれない。
詳しいレビューは以下の方の記事が参考になるでしょう。
登場人物の生き様にシビれる!「鉄腕ガール」 ( 漫画、コミック ) - 活字中毒オンナの読書感想文 - Yahoo!ブログ

 女給として働いていた主人公・加納トメはその美貌と腕っぷしの強さで、戦後初の女子プロ野球リーグを注目させる為の「かませ犬」としてスカウトされる。

 自分の投げる球に揺るぎない自信を持っていたトメだが、最強チーム「ストライクス」の黒沢にあっけなく打ち取られてしまう。

 自信を喪失したトメだが、化粧品会社「日比谷美容」の女性オーナー、蘭崎五十鈴に見初められ、「キャンディーズ」のピッチャーとして野球を本格的に始める事を決意する。

しまいには本番アメリカに殴りこみ「戦争に勝ったくらいで威張りやがって 男としてもっとカッコよく生きられねえのか」熱いでしょ?

あ、野球といえば水島監督が同じく監督した「おおきく振りかぶって」という人気作品もありましたね。

華やかな娯楽作品「ガールズ&パンツァー劇場版」

横道にそれました。ガールズ&パンツァー劇場版でした。印象を列挙してみましょう。

女の子がいっぱい

前述のように男はあまり登場しません(お父さんとか連盟会長とか役人でわずかに出てきます)イケメン狙いには向かないかな。恋愛に憧れる武部沙織さんには残念な話ですが。ただ、ヒロイン西住みほのお姉さん、幼少期のシーンもありますがかなりイケメンで無口系(っていうかあそこ音声ないからね)クールショタっぽくもあるのでそのへんが一部の癖がある方におすすめになりますか。…沙織がまほの昔の写真を見て「なにこれかわいい」とか言い出す可能性…あ、すいませんこっちの妄想です。

男は少ない代わりに女の子が多い。やっぱり見た目華やかじゃないですか。まあまずそういう単純なキラキラ具合が好きだなあ。あ、あと戦車が少し出てきます。パンツァー生まれのカーボン育ちよ。

優しいたたかい

暴力感がないこと。まあ兵器は暴力発生装置以外の何者でもないんで「チミはいきなりなにを言い出すのか」と思うかもしれませんが、戦車道では砲撃の性能は誰かの肉体を破壊する道具ではなくて(でも町役場やホテルは容赦なく破壊する)あくまでも試合として相手を行動不能にする力の優劣として語られる。装甲が厚くてこちらの徹甲弾では抜けません、とかね。生身の体には当たらないしやられてもせいぜい転がった戦車からシュポッと白旗が上がるだけです。沙織が華さんの肩を蹴るシーンくらいかな、肉体的暴力シーンは。

そしてもちろん上官が部下を殴ってヒャッハーなんてのはない。ガルパンで出てくるパワハラとしては、プラウダ高校のカチューシャが、遅れをとった者に日の当たらない教室で25日の補習授業を申し付けるくらいじゃないですかね。
このあたりのマイルド感は、プリキュアなど女児向け作品にも共通したものだと思います。プリキュアの有名な掟に「プリキュアの顔を殴らない」があります。顔付近の攻撃は腕で必ず受ける。威力は身体ごと吹っ飛ぶことで表す。

つまり描きたいのは血肉や人間系の醜い諍いじゃない、という。前述の「鉄腕ガール」のような作品は男女間の体力の違いから始まって肉体や人間ドラマを描いているので、こりゃ真逆です。そういう作品を求めていたら肩透かしを食らうと思う。

お色気控えめ

プリキュアの基本水着禁止ほどではないにせよ、ガルパンには監督のパンチラ禁止令があります。お風呂にはね、汗でベタベタになったら流したいよねという吉田玲子さんの意見により入りますけど。まあ、どんなシーンにだってセクシーを読み取る読み師もいますが、作品としては別にそこはアピールされない。

とにかく笑いと感動よ

パンチラもない、つまりエロスもタナトスも健全レベルとしたらじゃあ他になにがあるの?あんたたちなにが面白くて劇場に向かうのというと、これは努力・友情・勝利です。さらに言えば笑いと想像力です。

いや笑ったよね。感動と笑いが一緒に来るのがまた困る。これは是非ご自分の目で確かめていただきたい。
この笑いには、コミカルなシーンに対するものもあれば、ドリフターズの最後にセットが崩れ落ちるタイプの「あーあ」オチもあれば、「ははあ、よくそんなこと思いつくね」という感心や脱帽に近い笑いもある。

だいたい人間、予測できたことには「ま、ベタだよね」と言い、予測できなかったこと自体は忘れるもんですが、あの戦車たちの活躍、もう手を替え品を替え、戦車独特の仕様やその場にあるものなどを活かした戦い方、ジャッキーチェンが机とかお茶碗とか箸を使ってカンフーするアレみたいな、そういった「戦車が好きで好きでしょうがない隊」の想像力に拍手するしかない。あんな予想外だらけにはベタとか言えませんよ。

オールスターです!

今回の劇場版一番のポイントは、オールスターということ。かつての対戦相手、ライバルが、みほたちのピンチに次々と集まってくる!大集合!

どんな流れかは是非劇場でご覧ください。ただちょっとだけネタバレしておこう。プリキュアオールスターズでもおなじみの、
「ちょーっと待った〜〜!!」
が合図です。

ああ、DXみたいに(以下妄想)敵に取り囲まれた西住殿が「やられた…っ」と目をつむるが攻撃がなぜか来ない。そっと目を開くとティーガーに乗ったお姉ちゃんの後ろ姿を始めイギリス、アメリカ、ロシアなどの各校混合戦車部隊が盾に!(例の曲)でもよかったなあ。話の整合性まるでないが。
やられシーンでは「まだ……わたし、大洗のみつだんご、食べてない……」「かあちゃんの店の生しらす丼も…」とか言いながらゆらり立ち上がるわけですよ。
無論観客はミラクルライト振って「がんばえー!」とか応援しており、「力が…湧いてくる…」「みんな、ありがとう!」で最後はなんかでかい敵にみんなで「はーーーー」と声を合わせて巨大な榴弾だか重ベトン弾だかを打ち込みます。

ついでにスタッフロールでは全員3Dの美麗CGで踊るアンコウ踊り…いや、今のなし。

あ、スタッフロールでは各戦車の主な活躍シーンと撃破数が整理されて出てくるのでもよかったね。本編が乱戦だったから。まあ、そうすると感動薄れるか。

逆にプリキュアオールスターズ側にガルパンが参考になる点はないか。この間の作品では歌合戦みたいになってましたが、もっと本編中でも歌ってもいいかもしれない。カチューシャとか雪の進軍とか。
もちろん、戦闘の多彩さ、あっと驚く個性を活かした活用法。ミントやロゼッタ、サンシャインらでバリアとかあったよね、あれみたいな。ただすごいのをドカーンで終わりではなくて。これはぜひ取り入れていただきたい。

まとめ

実はガルパン劇場版では、先ほどの「ぷいきゅあー、がんばえー」ほとんどそのままのシーンが出てきます。倒れても倒れても立ち上がってくるものに憧れる二人の少女のものがたり。
そんな風に観てもいいかもしれません。

「キュアップ・ラパパ!」も「パンツァー・フォー!」も、だいたい同じようなもんです。(予想)[要出典]
ガルパンプリキュアも、楽しいよ!