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ガールズ&パンツァー劇場版 オリジナルサウンドトラックを聴こうじゃないの(前半)

ガールズ&パンツァー劇場版、観てますか。とりあえず私は5回、まあ週一のペースですね。ささやかなものです。

ガールズ&パンツァー劇場版を見た感想です! - head's blog
前の感想のあともいろいろ思いついたのをメモしてるのですけど、それはまたいつかまとめるということで今日はひとつ、サントラを聴こうじゃありませんか。クリスマスだし。

ガールズ&パンツァー 劇場版 オリジナルサウンドトラック

ガールズ&パンツァー 劇場版 オリジナルサウンドトラック

このジャケット絵、サックス警察としてちょっとだけ言わせてもらうと華さんちょっと上のほうぐちゃっと握りすぎだし右手見えないはず、ついでに秋山殿のチューバのマウスピースに向かう管が浮き過ぎとかあるんだけど彼女たちは吹奏楽道は選択していないのでそういうのは京アニにまかせてよし!かわいい!OK!

でも、車長みほが指揮は当然として操縦手の麻子が全体のリズムを担うドラム、低音を支えるのが装填手秋山殿、メロディの花形サックスが砲手の華さん、遠くまで聞こえる楽器トランペットが通信手のさおりん、と納得の構成です。

もうひとつの「ガールズ&パンツァー劇場版」

中のライナーには、作曲、アレンジを担当した浜口史郎さんのインタビューが書いてありますね。なかなか興味深い。特に最後の段落、

音楽先行で作業をした部分が多いので、映像と一緒になるのが非常に楽しみです。

はいみんな注目!業界の裏方的なことはSHIROBAKOで観たぐらいにしかわかりませんが、映像より先に音楽作ってるんですね。つまりよ、このサントラは監督からの発注を元に、浜口さんが頭のなかで展開させた「劇場版」なのよ。

水島監督が「やっと2時間に収まった」みたいなことツイートしているし、カットされたところも見たい、ガルパン劇場版のディレクターズカットが見たい、なんて思うじゃないですか。確かに見たいんですが、まあBDなどで出たらすごいけども…という夢に近い。でもこの音楽は、今映画館でやっているのとはちょっと違う、ある時点での監督の考えを浜口さんが実装した「浜口バージョン」みたいなものなのよ。現時点で我々が手にすることができるもうひとつの「ガルパン劇場版」。

このあと、「最初はこのシーン用に発注したんだけど、この曲はちげーな、こっちのシーンに合うな」なんて当然ながら監督は編集していったはず。実際、2ちゃんねるでどの曲がどこで使われてるか頑張って調べてくれたファンがいるみたいだけど、これ見ると「大洗・知波単学園連合で勝利を目指します!」なんてCDでの曲順は前の方だけど映画ではずいぶん後の方で使われてるみたいだ。
http://hanabi.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1449668871/338

というわけで、ライナーや上記情報なんかも参考にしながら、音楽そのものや、ときに音楽が伝える別バージョンを想像して楽しんでみよう、という趣向です。

Disc1

01. 劇場版・戦車道行進曲!パンツァーフォー!

タイトルロゴのところで使われて、声優さんたちが「ほんとに映画になったんだー」ともう感激しちゃったという、ガルパンを代表する曲です。

そう、このダッ、ダダッ、のイントロ、バンダイビジュアルのCMではよく耳にしたけどテレビシリーズでは使ってなかった。出だしをカットして0:15の4度重ね和音からですよね。ほらあの、4話の三突が薬局の陰から砲撃成功するところとか。これも上手いカットだと思った。4度重ねって昔のロボットアニメからある、こう、ちょっとそびえ立つ艦橋とか、身長57メートル体重550トンとか、あるいは作戦成功というか、「さておまえら、ここから本領を発揮するぞ」の合図だと思うのね。俄然あそこから楽しくなるじゃないですか。これは、「ダッ、ダダッ」から始めちゃ出てこないフィーリング。

そしてもう何度も聴いたこのメロディ「ファ、ラ、ドー、ドファドーファ、ドーレドラソー、ドソードラ、ファーソラドー」ですが、フルート(ピッコロ?)で可愛らしく、このへんがガールズ感出してる。桂利奈ちゃんみたいな「ちっちゃい子」のイメージ。トロンボーンもちょっとのんびりした、とぼけた味が出ますよね。

ついでに言うと、メインのメロディを飾るように、あるいは裏に隠れるようにいろんなメロディがあるでしょ?副音声みたいな。副旋律っていうんだけど。耳のピントをちょっと違うところに合わせると聞こえてくる。これがね、泣かせるメロディだったりするの。DreamRiserなんて、そこがいいんだから!なぜかオネエ風になってしまったが。

02. Enter Enter MISSIONです!

11/3に東京フィルハーモニー交響楽団ガルパンの曲を演奏するコンサートがありました。聴きに行きましたよ。一番聴きたかったのは「戦車道アンセムです!」ね。これさえ聴ければ満足だと思っていた。
そしたらあんた、予想通りアンセムで最後(アンコール除けば)かと思ったら、指揮者の方が楽しそうにちょっと早いテンポでEnter Enter MISSIONのオーケストラアレンジを演奏し始めたの。
www.animate.tv
これが感動的でさ。ちょっと涙が出た。いや、正直ね、こういう明らかにポップスのコード進行、リズムの曲ってオーケストラでやると、なんていうのか、「ジャスコ感」が出ちゃうんじゃ…と思ってた。ジャスコの音楽もいいんですけどね、フォローしますが、でもほら、ねえ。と思ったらこれがいいのよ。ちょっとコード進行も変えてあってアレンジの力ってすごいなと思った。泣きのメロディだからだなきっと…。

浜口さんは「軽めの仕上がりですね」なんて言ってるけど、じゃあ「重厚に作ってくれや!」って言ったらどうなっちゃうのか。

劇中ではアウトレットを福田とアヒル殿が走るシーンでしたね。福田はそれどころじゃなかったかもしれないけどこの曲は、晴れ晴れとしてこう、自慢気に行進してるよね。見せびらかすように。勝ち誇るように。もう長年EDを支えてきた実力は伊達じゃない。

03. 劇場版・大洗女子学園チームで前進します!

これも聴き馴染んだ曲ですね。でもアレンジはゴージャスになってる。ちなみに「戦車道行進曲」のほうはファラドだけどこっちは1音上げてソシレ…になってる。トランペットなので、フルートより戦闘寄り。後ろの「ばん、ばばん」も、ちょっと警戒してるよね。探り合い、作戦開始ってとこかな。
最後にその伴奏が、上昇していって「そろそろなにか始まるぞ!」って感じを盛り上げていく。

04. 大洗・知波単連合チームで勝利を目指します!

これね。ホルンが入ってますね。このへんが劇場版。キーは同じだけど少し「前進します」より鈍重にも聞こえるのは知波単学園のイメージか。Bbに転調したところでコントラバスがピチカートで弾くのでちょっとジャズっぽい。メロディはクラリネットになっています。リズムを刻むより伸ばす系のストリングスでちょっとここはのびのび戦っている。
だいたい、刻むと接近戦、伸ばす音だと移動中か長距離で戦闘、みたいなイメージがあります。
そして太鼓パートでちょっと重い(和太鼓…ではなさそうだけど)っぽい音。これですね、これが知波単学園要素なんだ。さらにD、そしてFに転調して戻ってきて、だいたい上に転調すると盛り上がると相場は決まっておるので、「戦ってんだぞ、福田とドライブしてるんじゃないんだぞ」ってことなんでしょう。アヒル殿のイメージですね。

05. 知波単学園、戦車前進

浜口さん、知波単学園を「まず和風…和太鼓だ!そして短調だな!」昭和歌謡だと。高倉健だと。巨人の星だと。もう「どーこーにーいーるー」みたいなメロディでいこうと。葬送行進曲的でもある。確かになにかっていうと死んじゃうイメージ。
いわゆる、スポ根というと、昔はこうだったんだろうなあ。だから「ガルパンがスポ根」と言うとこのイメージで来るひともいるかもしれない。「いや、それは大洗じゃなく、知波単のほうで…」とか聞く人にはまったくよくわからない説明をするはめになるので変にスポ根と言うとめんどくさいかもしれん。

06. 孤高の戦車乗りです!

これは、島田さんちの娘さんですね。ピアノソロで寂しげに。ははあ、ママンとの電話のシーンですか。高い音=低年齢というルールがここでも明らかですね。
当然ながら、ここでは「大洗」を意味する戦車道行進曲のモチーフはない。「戦車乗り」ではあるけども、どっちかというと厳しさよりも冷たさ、で行ってますね。そういうキャライメージなんだろう。

07. 島田流です!

ついに、4拍子でもなくなった。3拍子のジャズっぽい優雅な曲。マンドリンがちょっとノスタルジックで(ICOでも使われてたような音)、クラリネットが低音から入ってきて「孤高の」に比べるとちょっと年齢層高い。島田ママンですねこれは。西住ママンが昭和なら島田ママンは明治の華族っぽい。クラリネットかな、いい音だわ。あ、これ劇場では使われてない?ああ、もしかしたら島田母か娘を紹介するシーンを作る可能性はあったのかな。

08. 夕暮れです!

廃校を告げるシーンと学園艦見送りのシーン。ストリングスだけのメロディが、学園艦など大きい物、風景を写していますね。そこに、クラリネットより音が高い、会長や生徒たちでしょうか、オーボエのメロディ。いい音だわこれ。庄司知史さん。
2:51ぐらいから何度か、音がふと途切れるような演出にしてありますね。けっしてのどかな夕焼けではなくて、別離の空気。
もしかしたら、これは戦車とも離れ離れになってみんなで(秋山殿は腸詰め作ってるけど)「潮の香りもしない」としょんぼりしてるシーンのイメージだったのかもしれない。

09. 少しだけ疲れちゃいました!

戦車道行進曲からの変奏で、レファラー、ラレラーとマイナー化したモチーフ。寂しい大洗、ですね。劇場版ではバスで他の生徒たちとばらばらになるところだそうだけども、なんに「疲れちゃった」んだろう。本来は、訓練あるいはエキシビション後のしんみりしたシーンを想定していたのかな?

10. みんなの想いはひとつです!

吹奏楽中心の曲に比べて、アコースティックギターとピアノというのは珍しく感じます。つまりいつもとは違うシーンということでもある。フルートも綺麗ですね。そして1:25あたりのピアノ・ソロの泣かせが入ったコード進行。真っ暗ではなくて明るくはあるんだけど、切ない。ちょっと10話の、みんなでカツ食べてるところも思い出す曲ですね。(あれは違う曲だったと思うけど)

11. なんとなくの日常です!

これ、帰省の船に乗ってるあたりとか…と思いきや日常夜。仮校舎で寝てるところかな。ビブラフォンが入って、あ、つまり鉄琴です。下から空気を煽ってビブラートを掛ける機械がついてる。夜っぽいですね、この楽器の音が。
わたくし思うに、このサントラ世界では、鉄琴木琴は「作業」「構築」だと思うのね。なにかを積み重ねている。日常の仕事かもしれないし、着々と仕掛けているかもしれない。とにかくリズムを刻んで動いている。「夕暮れです」みたいなぼーっとしてるんじゃなくて、寂しいけどなにかやってる、というイメージに見えます。

12. 準備を怠りません!

こちらが仮校舎での昼か。ほら木琴でトントンやってるでしょ。日常の積み重ね。フルート、オーボエはもう日常なんだな。トランペットたちが戦闘で。

13. 西住流です!

これが帰省、そして実家の様子。さすがにいくら西住流でも家でもばっこんばっこん常時砲撃があるわけでもなく、静かな落ち着いたご家庭です。ただ庭にヘリは降りてくるけど。ああ、これはみほの部屋なんだな。部屋のホコリが光にきらきらしている。思ったより優しく包んでくれるような実家でした。これはしほさん怒ってないね。

14. II号戦車が好きです!

もうみほまほがかわいいこと。あのシーンですね。ここで、時間が過去になるというので音楽も、他ではあまり使ってない…ハープ?ギター?幻想的な音に仕上げてあって、もう夢の中のような記憶のかなたの世界。セリフをなしにしたのも「夢」という効果にしたかったんでしょうね。

15. 会長もたまには働きます!

打って変わって現実。ここからですよ!ここから3曲ほどがわたくし、このサントラのひとつの山場だと思いますしここを書きたいからこの長い記事を始めたんです。
会長が動く。あの小さい体でなあ。どんだけ重荷を背負ってる。生徒会長が全てを仕切る(学園長ってなんなんだろ)らしいんですが18,000人ですよ。ちょっとした大企業ですよ。その命運を背負って大人たちに挑む。人脈を辿って…。自分ならあんな堅そうな役人と折衝するのは嫌だなあ。
ここでは、低音の弦が刻んでいます。重苦しい作業を積み重ねている。ハープシコードみたいな音もするね。相談し、考え、そしてまた別のところに働きかけ…。

16. 希望の光は絶対に消えません!

そしてここにつながる。こうして会長の働きが、着々と桃ちゃんそしてみんなに伝わっていく。
これね、劇場版だと試合を告げるシーンで途中の一部だけしか使われてないの。でもこの曲そのものは、一連のドラマがあるよね。浜口バージョンと呼ぶゆえんです。
重苦しい空気から、0:40あたりで最後の希望が見えてくる。1:23あたりで半音上に転調してるのわかりますか。この上に一歩一歩上がっていく感じよ。まあ実際はこっそり半音下に戻るのを繰り返してるんだけど、ともあれ上がっていくのを強調している。会長が繋いできた希望をみんなが大切に広げていく。木琴がNHKで昭和の高度成長期とか言って早回し気味に機械やら車やらが行ったり来たりする感じ。わかって。
2:23で「やってやろうじゃねえか」になる。そりゃそど子もぐっと顔を引き締めますよ。2:36のストリングスパートは空に思い描く希望。取り戻せるかもしれないという夢。現実の困難もあるけれども。この試合に勝って大洗に帰ろう!っかーっ、泣ける!
最後に、みんなの興奮からちょっと引いて、「苦労かけるね…」「いつもそうですから」ですよねこれ。ここまでのドラマをこの一曲でまとめてきたわけですよ浜口は。まいりましたね。
実際の劇場版は重苦しい「たまには働きます」などに戻ったり、みんなが集まってくるHome Sweet Homeとかにもなるんだけど、このサントラのバージョンではこうなっています。いいじゃんか。

17. 学園十色です!

皆さん大好き、学園十色です! パンツァーリートとしてはDisc2のほうが豪華なんだけども。みんなのバランスとしてはこれですかね。
特にフニクリ・フニクラが好きかな。「きたー!CV33で来やがったー」と盛り上がる。これ、いや登山の歌ってのは知ってるけど、OVAでも思ったけどこんなに頼もしい素敵な曲だったんだね。それから雪の進軍が妙に威勢よくていい。
これらみんなのテーマメロディが、最終的に大洗の戦車行進曲にまとめられちゃ、もう降参するしかない。
これ、相手チームを「敵」として描いてないからできるんですよね。どいつもこいつも、見せ場はかっこいいんだ。そういう作りにTV版にしてあったからこその、この味方にしたときの心強さ。そりゃみほさんも涙目になりますよ。

あ、そうそう。TV版のロゴはみほ一人だったけど劇場版のロゴではあんこうチームみんなIV号に乗ってるね、って話題がありましたが、
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このTV版ロゴにはなかった7つの星が集まってるところにも注目したい。7つ。なにか気づきませんか。
そう!黒森峰、サンダース、プラウダ、聖グロリアーナアンツィオ、継続高校、知波単学園。十色ならぬ大小7つの学校が今ひとつの大洗制服と同じグリーンになって並んでいるわけですよ!いやまいった!ほんとかどうかは知らないけど。でもそう考えるとちょっといいじゃありませんか。

一旦休憩

ちょっと長くなったなあ…。まずは一旦ここで切りましょうか。後半はいよいよ、あの大戦闘のBGMになるわけですが。
というわけでまずはおやすみなさい。

続き、書きました。
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